並ぶひと
恋月 ぴの
横はいりなんかしてないのに
ちゃんと並べと咎められたことがある
トラウマになってしまったのか
また文句言われてしまうのではとオドオドしてみたり
私って気が小さいのかな
それからは列に並ぶの苦手になって
幸せになれるチャンスをみすみす逃してきた
並んでこその人生なのにね
*
ある日の朝、目覚めると行列ができているのに気付く
何の列なのかな?
私だって幸せになりたいんだ
今度こそ何があっても並びぬくんだから
何の列だか判らないままに並ぶ
いつの間にか私の後ろに幾人も並びだしている
いつまで並べばよいのだろう
そもそも、この列のはじめってどこになるんだろう
皆、無表情な顔して並んでいる
何かを気にしているひとなんて誰もいなさそうで
私も何の列だか判らないまま並んでいる
*
私、横はいりなんかしてないからね