砂の城
たもつ

 
 
むかし男の人が死んだ公園で
山岸徹也くんと砂の城をつくった
歯ブラシが近くに落ちていて
それはとても古い感じがした
城門に番兵の人形を二体置いた
翌日、城は壊されていた
人形は砂に埋もれて
もう守るものがなかった
中学校に上がるとき
山岸徹也くんは他の県に引っ越した
それ以来何となく
連絡を取ることはなかった
公園で死んだ男の人がどうなったか
知ることなく過ごしてきた
今まで自分が許したことと
許さなかったこととの基準は
その時々で多少の幅があった
 
 


自由詩 砂の城 Copyright たもつ 2011-02-20 16:58:11
notebook Home