幸せの代償
subaru★

君が引き金を容易に引くのなら
私は平伏すだろう
「無抵抗」と言う名の最大限の抵抗で挑む

大地にこぼれた真紅のワインは
干戈好きなハイエナが武者振りつく
川面に浮かんだ白いパンは
憐れみを背負った薦被りが持ち去る

見えない十字架の重さに気づいた時
君は現人神にスガル
赦免を乞うものなら
判事の頭は左右を振り子のように揺さぶる
赦しの秘跡は成立せず
冥府の国へと旅立つ

産着も着せてもらえず 粟も口に運べず
ゆくても無い航海こうかいへと重い舵をとる
打ち続けたくいは容易に抜くことも出来ず

薄明るい灯りの集落が懐かしい
熟れない葡萄を摘んでいた頃が愛しい
焦げたパンをちぎって分け食べていた頃が懐かしい

あなたが引き金を引くのに躊躇するなら
私は僅かなパーセンテージでも あなたを説き伏せるだろう
「折り合い」と言う名の話し合いでリカバリーに努めるだろう
あなたが武器を捨てるまで

柵も壁も堀も空しい「レリーフ」だけが焼けに目に付く
そんな世界を今でも人は見続けたいのだろうか?
そんな私の愚問が君を惑わし続ける


自由詩 幸せの代償 Copyright subaru★ 2011-02-20 03:20:32
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