幸せの代償
subaru★
君が引き金を容易に引くのなら
私は平伏すだろう
「無抵抗」と言う名の最大限の抵抗で挑む
大地にこぼれた真紅のワインは
干戈好きなハイエナが武者振りつく
川面に浮かんだ白いパンは
憐れみを背負った薦被りが持ち去る
見えない十字架の重さに気づいた時
君は現人神にスガル
赦免を乞うものなら
判事の頭は左右を振り子のように揺さぶる
赦しの秘跡は成立せず
冥府の国へと旅立つ
産着も着せてもらえず 粟も口に運べず
ゆくても無い航海へと重い舵をとる
打ち続けた杭は容易に抜くことも出来ず
薄明るい灯りの集落が懐かしい
熟れない葡萄を摘んでいた頃が愛しい
焦げたパンをちぎって分け食べていた頃が懐かしい
あなたが引き金を引くのに躊躇するなら
私は僅かなパーセンテージでも あなたを説き伏せるだろう
「折り合い」と言う名の話し合いでリカバリーに努めるだろう
あなたが武器を捨てるまで
柵も壁も堀も空しい「レリーフ」だけが焼けに目に付く
そんな世界を今でも人は見続けたいのだろうか?
そんな私の愚問が君を惑わし続ける