紅白の雑音で聞きとれない会派離脱のイデオロギー 
小川 葉



うたうりゆうもしらずに
ぼくらはうまれた

うたうことが
うまれたりゆうであるかのように
マイクをわたされたけれど
うたうべきうたがみつからない

テレビのむこうには
かしゅのみなさん
そうすることでしか
いきていけない
かしゅのみなさん
わたしはかしゅではないから
マイクをおいて
ステージをさりました

ふつうのおんなのこになりたい
ただそれだけで
イデオロギーはいみをなくした

あれからどれくらいたつだろう
きみとぼくのしゅうせんきねんびに
ふたりがけっこんしてから

たたかいはまだつづく
そこかしこから
じゅうげきのおとにまじって
きこえてくる
わたしたちがうたうべきうたが
あたらしいうたが



自由詩 紅白の雑音で聞きとれない会派離脱のイデオロギー  Copyright 小川 葉 2011-02-18 01:05:21
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