happy again
凛々椿
今日 静かに雪が積んだ
僕は I'm singing in the rain を小さく歌う
I'm singing in the rain
Just singin' in the rain
楽しい思い出は悲しい思い出に生まれ変わった
もう戻ることはない
理解した時 僕は何の言葉も発せなかった
背中には殴られた痛みがしばらく残り
それでも笑う癖がついていた僕はただただ笑った
そう 楽しい思い出は悲しい思い出に生まれ変わったのだ
そしてもとに戻ることはなかった
二度と
目をつむっている
なのに思い出はふいに目蓋からしみ込み そう今日の雪のように
悲しいので
僕は毎日死者のふりをする
光かがやく新しい日々に添いながらも
何ひとつ変えられないまま
積んだ雪の道のすみで 言葉を発せずにいる
それでも あとふたつきもすれば
あの丘のさくらが咲きほこり
僕のいない白楽の町に はなやかに降り積もるのだ
潮風に乗って
気がくるうようになっても
それは それはとても美しく思い起こされるのだ
あの人とともに
雪はやがて雨へと生まれ変わった
錠剤を噛み
僕は I'm singing in the rain を歌う
あの日のことを思い出して歌い続ける
I've a smile on my face
I walk down the lane
すべて 夢だったら
思い返しながら
雪解けの灰色を跳ねながら歩く僕は
まるで ピエロのように