父の影
森の猫
27で父を亡くした
あのとき
あたしは
もぬけのからになった
数ヶ月
母と暮らした
父の大きさを
影響を
思い知った
もう
何十星霜も
たっているのに
未だ
父の影を
追っている
はにかんだ笑顔
声
煙草の匂い
髭の感触・・・
みつけて しまった
ふたたび 父の影を
遠い
あなたに
みた
重なる
重なる
父との思い出が
たくさん
たくさん
よみがえる
髪を洗ってあげる
つもりだった
あなたは
言った
深く
木の香りのする
楕円形の浴槽
幼いころ
いっしょに入った
お風呂
あなた…