丘を越えて
nonya


いくつめかの丘の上で
目から流れ落ちる汗を拭った
いったい誰のための汗なのか
そんなもので救われようと思ってる
自分がちゃんちゃら可笑しいよ

勾配の緩やかな所を
選んで登ってきたはずなのに
どうして何度も息が切れるのか
味のしなくなった覚悟をくちゃくちゃ
いつまでも噛んでるからかもね

ぬかるみで汚れた靴を
自慢なんかしちゃいけないんだ
かすり傷に巻いた包帯を
誇らしげに見せちゃいけないんだ

振り返ればいくつかの丘
の向こうは飴色に滲んで
っていうか飴になって澱んでいるけど
もう二度と舐めることはできないよな

とりあえず丘を越えるしかないんだ
足裏の感触だけがリアルなんだから
毎日を丹念に踏み潰しながら
惚けたように歩き続けるしかないんだ

自分の重さのままに残った足跡に
花が咲こうが咲くまいが
これ見よがしに優しく曲った猫背に
日が照ろうが翳ろうが

丘を越えて




自由詩 丘を越えて Copyright nonya 2011-02-16 19:14:48
notebook Home