みんなとってもかっこいい
真島正人
僕が中学生だった頃
ボブ・ディランを聴いていると
笑われたことがある
ビートルズでさえも
ダサかった
でも
今は
時が流れて
ボブ・ディランはとっても
かっこいいといわれてる
ドクター・ジョンも
アラン・トゥーサンも
恥ずかしがらずに聴くことができる
いい時代が来たもんだ
若い人がこぞって
アヤシイ音楽を聴く
いい時代が来たもんだ
僕が中学生だった頃
モダンジャズはぎりぎり許された
オーケストラみたいな
戦前のジャズは
許してもらえなかった
でも
今はスィングジャズのSPレコードが
かっこいい
おしゃれなカフェで聴くと
「違うぜ」
と言いたくなるけど
でもなんだか
鼻が高い気分
ビックス・バイダーベックスも
ロイ・エルドリッジも
恥ずかしがらずに聴くことができる
いい時代が来たもんだ
若い人がこぞって
アヤシイ音楽を聴く
いい時代が来たもんだ
結局僕も
音楽を
かっこいいかどうかで
聴いてきた
嘘じゃないんだ
ほんとだよ
それを聴いてて
馬鹿にされないかどうかが
心配だった
ファッションと
一緒だよ
初めて
ジャズを聴いたとき
すげーリズムに
胸が高鳴った
サウンド・オブ・サイレンスの
歌詞を
授業中にノートに書いていた
イエスタディのイントロの
弦の音に
胸がきゅぅぅんとなった
一日中
ディランの言葉が
頭の中をうろついていた
でも
「これを聴いてる俺のセンスはいかしてる」
そんな打算も
きっとあるんだ
音楽は永遠さ
永遠じゃないさ
よくわかんない
夢中になって語りたくなるこの気持ち
いろんな気持ちが混在してる
本気で好きさ
もちろんそうさ
そこに
いろんな気持ちが混在してる
「これを聴いてる俺のセンスはいかしてる」
そんな打算も
きっとあるんだ
それで
いいんだ
複雑だから
ほんとの気持ちに
向かっていけば
いいだけなんだ
みんなとっても
かっこいい
ほんとだよ