ターミナルまでの15分
subaru★
ありふれた朝の七時四十五分
海色のバスに飛び込む
朝は深海のように まだ肌寒い
青天井に吸い込まれそうだ
挨拶代わりに
春のオレンジが目にしみる
ターミナルまでは十五分
バスの横揺れは
揺り篭で眠る赤子のように心地良い
旅人は 大きな翼をたたんで
水飲み鳥と化す
クロスオーバーが木霊する
旅人を乗せて
今日も走る
suicaをカザス電子音が鳴り響く
雛鳥達が歌い続ける
心地良い幻想と空耳を楽しみながら
いつもの 平凡な平日の
いつもの ありふれた朝を旅している
海色のバスは今日も走る
『まもなく終点です』のアナウンスが
幻想の世界から現実の世界へと
強引に引き寄せられる
海色のバスがターミナルに滑り込む
旅人は翼を広げ コンパスを片手に
大空へ飛んでいく
雲霞を掻き分けながら
僕は大空を舞う