○○○風
たもつ

 
 
亀のレストランに入った
亀たちが食事を楽しんでいた
メニューにあった
「亀肉のソテー○○○風」
(○○○が何であったかは失念)
を注文した
料理名の下には
不慮の事故で死んだ亀の肉を使っている旨が
小さく表記されている
もちろん彼らは頼まない
亀以外の生き物だけが注文を許されている
ソテー○○○風を食べている間
彼らは見て見ぬ振りをしてくれる
それがこの店の仕来りだった
食べている方も
美味しいだの、不味いだの、
そんなことを言ってはいけない
代金は死んだ亀を弔う経費に充てられる
だから他の料理よりも少し高くて
レジのあたりはいつも
湿っている
 
 


自由詩 ○○○風 Copyright たもつ 2011-02-14 22:30:54
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