まなざし
八布

汚すことを恐れて、
変えてしまうことを恐れて、
引っこめた寒い指を、
ため息であたためる。





好きで好きで仕方ないものには、
まなざしで触れるしかないのか。
言葉より目配せの中に、
多くの意味があるように、
君にもそうして触れるしかないのか。
ほっぺたつねるだけでいいのに。





手に入れたときより、
手放したときの、
それでも残る感触の方に
ほんとうの君がいるような気がする。
つまらない見栄を張ったり、
思わずウソをついたときの僕が、
どんな僕より僕らしいように。






こんなに寒い日。
僕が君を思うように、
君も僕のことを
思ってくれたらいいのに。
夢みたいなことばかり考えて
目を閉じる。





自由詩 まなざし Copyright 八布 2011-02-12 13:18:45
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