あなたが居ないことには私達は始まらない
小川麻由美
私にとってあなたは特別な存在
その雄大さ故に私達を翻弄する
あなたの巨大さで世界を見ると
私なんて砂の一粒とも同等だろう
そういえば
火星にあなたが居た痕跡があると聞いた
本当なの?
あなたが居ないことには私達は始まらない
流れたり 淀んだり たゆたったり
私はそんなあなたの佇まいが好き
あなたは温度計を気にしているのか
拡散していくあなたなら思い描ける
あなたが仲間とぎゅっと寄り添う
それがあなたの個性
寄り添ったにもかかわらず
大きくなるなんてあなただけ
私はまだ見たことがないけれども
話に聞くあなたは地球を青で満たし
薄っすらと半透明に拡散し
私達を守ってくれる
光を鋭角に鈍角に飛ばし
青い空
赤い空
はるか天空に居るあなたが
地上に降り注ぐと両刃の剣と化す
短い温度計において
結晶として姿を現す
結晶は厚みを増し白を与える
あなたが居ないことには私達は始まらない
今日も私はあなたを必要としている
まずは起き掛けにあなたをコップ一杯