空の産声
服部 剛
ある日僕の腕にぽこっとしこりが、出来た。
ある日身籠った妻は産婦人科で、検査をした。
この腕のできものは、何だろうか?
赤ちゃんは無事、生まれるだろうか?
人間の手はあまりに小さく
心配事を数えれば、ひとつ、ふたつ・・・
両手の皿にあふれるほど、降りつもる
だから僕等は必要以上に、考えまい。
( 人生に心配事は、つきものだ )
日々、この頭上に垂れ下がっている
幻の金に透けた紐を縋って握り、手繰り寄せ
ぐいぐいっと前へ、前へ、進むのです。
( 道ののびる彼方の空に、あの産声が響いている )
今も母胎の宇宙で、小さい呼吸をする
新たに生まれ来る者よ・・・
僕はこの詩で、君に告げよう。
いつか振り返る日、僕等は視るだろう
長く歩んだ
道程
(
みち
)
の傍らに
さまざまな思い出達を映して
立っている
いくつもの光の標識を
自由詩
空の産声
Copyright
服部 剛
2011-02-11 21:18:34
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