不在のあなたに
非在の虹

不在のあなたに手紙を書こう。季節はすっかり夏になったと。
あの苦し紛れの日々は終わったと。
なだらかな背に流れる
夏の日差しは
存在の側から送る今生の別れなのだよ。
不在のあなたは私を苦しめるために
私に訪れるのではない。
むしろ口笛と共に 時に古代のコロセウムの
時に秋刀魚の匂いまでさせて
モダニストの言う
脳髄の快楽のために 花なぞもまきながら
やってきたのだ杉の花粉のように軽く。
鼻炎なぞで鼻をヒクヒクさせていたんだ。
陰気な書物の中に
あなたは住居を構えたわけではないだろう。
あなたの好きな場所は本当は
公衆便所か みだらな少女の夢だろう。
不良の犯罪者の病人の半ば病人の脳髄に
宿って明るい歌を歌っているから。
わたしにはあなたの歌は悲しく聞こえない。
そろそろ下山したらどうだろう。
高い所と言えば 
最近東京ではスカイツリーというものが出来ようとしているよ。


自由詩 不在のあなたに Copyright 非在の虹 2011-02-10 09:03:19
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