ヨルノテガム








 くらやみに ふ  っと横切りマス
 それはスルメを食べ過ぎて下痢をした
 静かな週末の夜です
 浮遊の ふ かと思いましたが
 音符の賑やかな 譜 であるのかもしれませんでした
 は でもなく ひ でもなく
 ふ ナ感じなのです
 熱が出そうな風邪の境目を
 世界は回り入ってしまいそうでした
 ふ に四つの点(例えば「黒」や「照」の
 下の部分の点々点々)がひっついて 
 駆け回って走り逃げています
 ふ に さんずいが付いてうまく隠れているフリしています
 かと思えば
 雪の結晶みたく ふ が「降」って来るのであります
 幾つもの綿雪は降臨してくるので不思議な ふ に埋もれマス

 ふ の横顔
 ふ の物思い
 ふ るさとは しとしとと 人口が消えていると聞きます
 唇の先から洩れるは ふぅ――― と吐息の風船ですね

 ふふ

 ふふふ

 ふふ

 ふふふふ

 笑い声は手を繋ぎはじめます または
 最初の ふ にぶら下がって くっつきたがります
 腐りはじめる「腐」も居たりして。

 最初に横切った ふ は多分 不 だったと思うのですが
 何の存在を打ちけしてしまおうとしているのか
 不明なのです
 それはわかることのないものなのかとも感じるのです
 ふ は 不穏な 危ういバランスを指し示している 秤の様、
 重さのない言葉の普段を
 ぐっと力強く 留め置こうと流れます

 ふ は 心 という字の立ち姿にも思えました


 はて
   さて
















自由詩Copyright ヨルノテガム 2011-02-09 01:47:08
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