日記をポエムに
杉田natasha奈央子
ずっと受け取っていない郵便物がある。私はその中に何が記されているかしっている。
―タイミング
雲と雲とが重なる。煙と煙が混ざってゆく。
存在を認識していた人とやっと出会える瞬間があった。私は彼を愛する以外知ることはないだろう。私は否定する言葉をもたない。
彼は壁にーYES と刻む
―YES
私はあなた肯定します。あなたの全てを。
風が海に連れてゆきます。波が砂をさらっていきました。いつの間にか皮膚が溶けてしまって海風が私をひりひりとなでまわすのです。
―その目が私を肯定するから、私は愛する以外しることはない。
かたく目を閉じてみる。
―空と私が重なる。
・
私はベッドの上で一日の殆どの時間を過ごす。
六畳の部屋から世界を想う。此処には何もない、誰かがいった。そして全てが此処には揃っていた。
時の流れが緩くなる。
その瞬間、全てが輝きだす、想いも空間も言葉もどこからか抜け出してきた旋律も。
見上げると空には天使の梯子。
・
風が気持ち良くて、此処のところ増してだらしがない。
―この宇宙とか世界とか空間、そして自分の大切な人を見失わないように風が運んでくる便りがある。
遠い昔のような、懐かしいようなその優しい旋律の様な便りが 、私たちの間のバリケードを壊した。
その感覚が私の皮膚を喪失させた。皮膚がなくなった私は外にいくことすらできなくなってしまった。だがその時、全てが私に寄り添い始めた。
空気、雨、、光、雲、空、音、瞬間、怒り、満天の星空、夕闇、月の影、そして言葉
バリケードをもたない私たちはいくつもの強さを持った
・
友達が訪ねてくる。お酒と食べ物をどんどん消費する。
一人は酔っ払って詩のことを語りだした。一人は自分の音楽の話に夢中だった。私はその事を上の空で眺めていた。
朝方には疲れて寝息をたて始める。
遊びつかれた子供みたいに、ちゃんと守られている、という安心した毛布のぬくもりを感じて眠りについた。
誰かに守られているのではなく、それぞれの過去から私たちは守られ始めていた。
私たちは解き放たれ肯定されたのだ
―YES
目を瞑り嗅覚に神経を集中させる。花の匂いが漂ってくる。
遠くて優しい思い出がここにはある。
。
愛と平和がイコールにならないとき、私たちは摩擦のなかで葛藤する。摩擦熱で怒り以外を生み出す行為、それを芸術と呼びたい。
全てに、愛を。単純さに、複雑な事に、明らかな問題に、曖昧な気持ちに、迷子になった性欲さえも、それら全てが芸術によって赦されるだろう。
遥か遠くから 産声が 聞こえる