トレイン
番田 


何でもない毎日を また流れ出ていく
思う 何かをしようとしているとき
おもしろい それは
楽しいのだろうと 私は 思っている
楽しくないことは 霧の向こうにある
今日は 何もかもが綺麗に見える気がする
それは一体 何故だろう


鏡の向こうの風景に いつも 憧れていた
プラモデルのようなものを 手で作りながら
流れていくのかもしれなかった
舟の模型を作った時は なぜか 虚しかった


楽しい事を 私は いつも 探している
冬の日の 寒い どんな時でも
公園の隅を ひとりで 歩きながら


うぐいすパンの袋を 指先で切って 破いている
どこに行くというわけでもなく
何をするというわけでもなく
眠りに向かうのが 全て 正しいのかもしれない



パンを 手で 食べることもなく
そこで やさしい目を いつも していたい


そこに 十分な食料もなく
噴水から流れ出される 水たちを 見ていた
犬が中に入っては 出てくる あの夏の日を思い出す
私が そこで 生きていたのは いつのことだったろう



スターバックスで緑のストローを囓りながら
甘くもしょっぱくもない ドーナツを頬張ると
ここに来て 失敗だったと 私は思っている
チケットの半券を 握りしめながら
帰る当てもなく バスの様子を そこで 見ていた



緑の芝生の向こうに 家並みがあって
小高い山が ぼんやりと そびえている
日本では見られない形の雲が ぼんやりと 立ちこめている


黒い車が往来している
白い車も そこに やってくる
黄色い車の形を ひとりで見ていた


遠い異国の街で
ぼんやりとカフェで 黒いコーヒーなどを 飲みながら
ラーメンを食べることを必死で考えている



それは幸せなことだろう
そうではないのならたかがしれているのだ


夢の中で誰かに会いたい
今はもう 日常では会う気力もない


職場と家との往復の毎日だ
疲れだけが体の底から立ち上がってくるだけ


自分が誰なのかもわからなくなる
正しいこととは一体なんだろう


夢の中で地図を広げている
言葉を失えば自由になれるのだろう


そんなありもしない想像だけが微かに浮かぶ
街の中でどこに向かうのか


言葉は乾燥地帯の中のように干上がってしまった
銃を手にした兵隊が歩き回っている



そんな描写をするのは 少しだけ 苦手だ
何も もう 私は考えたくはない
労働者のフリをして街の中を歩き回る
失業者だった頃が 懐かしい
風が 体を干上がらせる


確かなものは どこにあるのだろう
自分をたたき直したい
携帯ゲームを 手にしながら
色々な妄想を 私は頭に膨らませる


無数の流れの中で釣り竿を手にしているみたいに思えた
期待感に胸を膨らませている 子供みたいだ
私は頭がおかしいのかもしれないと思う
何かに夢中になれたころがとても懐かしい


有名な人はこんなとき どんな選択をするのだろう
わからないけれど 見ている自分だけが 頼りだ
過ちは何度でも 繰り返されてきた
まして一人の人間だから 私は前に進んで行くしかない



自由詩 トレイン Copyright 番田  2011-02-08 02:07:32
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