折口也

ふっと
名前を消失してしまっていた
空の真ん中に視線を
漂わせていると
風が舞い上がる一瞬の間に


重力に括り繋がれていると
名前さえ肩に重い日がある
真っさらな空への
ひとひらの憧憬を秘めて
地上を恨めしく思いながら


風のように
雲のように
空の一部になりたい
無名の景色に紛れて
ひかりに溶けてしまいたい


地上に繋がれながら
空に届かない手をふる
ひとときの夢想にも醒めて
肩に名前を背負い直す
肩に名前を背負い直す…
               



自由詩Copyright 折口也 2011-02-05 23:38:26
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