ボンヌ図法としての僕
nonya


北東の隅にある茶色いシミは
無鉄砲で幼いエネルギーが
やるせなくせり上げた僕の山脈

山肌に滲んだ汗と涙は
入り組んだ等高線に弄ばれながら
諦めに良く似た水色の帯となり
やがて緩やかに蛇行する

未練がましい尾根が終わる辺り
退屈な緑色に塗り潰されているのは
いかにも品行方正な僕の平野

点在する気紛れな起伏は
道標のない道路をへし折り
停車場のない鉄道を迂回させて
それでも穏やかに緑色のまま

南東の黄ばんだ余白と
気取った海岸線の間に閉じ込められた
青いグラデーションは僕の海

何処まで広がっているのか
確かめる船も勇気も持たずに
ただ後悔だけを沈めていく
果てしなく黒に近づきながら

たぶん君のことだから
こんな薄っぺらな僕なんて
くるくる丸めて何処かに押し込んだまま
すっかり忘れてしまっているのだろう

でもなんとなく疲れて
後ろを振り返りたくなったら
GPSに繋ぐ前に机の上に広げて
懐かしい眼差しで僕を眺めて欲しい

指先でなぞったところで
何処にも辿り着けない
出来損ないの地図として




自由詩 ボンヌ図法としての僕 Copyright nonya 2011-02-05 23:03:59
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