【灯火】
啓発者


・・・

夜に煌々と輝く街の灯りが眩しい。

その喧騒から離れても尚、ノンフィクションなこの世界から逃れることは出来ないのか。

・・・

僕にはフィクションを生み出す才能がなかった。

真っ白なキャンバス・・・

そこへ一筋のペンを走らせ、未だかつて誰も見たことがない世界が広がってゆく・・・

筈だった。

筈だったんだ!

筈だったのに・・・

そこには何もない。

見上げればただ黒く塗り潰された空だけが広がっている。

・・・

何度ペンを走らせただろう・・・

何度世界を創造しただろう・・・

何度・・・

否定されたフィクションを塗り替えてきただろうか。

何も生み出すことが出来ない僕の右手は、いつしか真っ白だったキャンバスを黒く塗り潰していた。

・・・

夢から醒めた現実を眺めて・・・

希望が潰えた絶望を抱えて・・・

そんな漆黒の闇の中、ノンフィクションの灯りだけが煌々と輝いている。




《とある漫画家志望の黄昏》
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自由詩 【灯火】 Copyright 啓発者 2011-02-05 15:35:21
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