せとか
kawauso

冬なのにあたたかいオレンジのせとか
まあるい君をどう食べよう?
やわらかくすいつく肌に爪をいれるのが
僕にはなんだか無精におもえて
青白い包丁で6つにわける

半月形のせとかたち
皮はやさしく「どうぞ」とむける
実から芳潤な一滴がたれ
机の上にいつまでも残っている
その一滴すら僕にほほ笑む

かわいい彼女を食べてしまうと
残った皮のボートが
白い皿の水面にゆれる

船底が薄い皮のボートに
手いっぱいの甘さと酸っぱさを抱えて
沈まずにどうやって乗っていたのだろう?


自由詩 せとか Copyright kawauso 2011-02-03 23:19:31
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