See off
ネハン・フランク

 出発の時間が近づいていた。私は今日、旅立つ。この日を迎える事が出来たのも、今まで後押しえてくれた人々のおかげだ。学校の先生や友達は私がこの話をした時、私がしたいことなら必ずすべきだと言ってくれた。父や母は背中を押してくれた。これから私を待ち受けているものは何だろう。全く未知の世界だ。もちろん苦しかったりもするだろう。でもきっと楽しい。私はずっと考えてきた。この街を、世界を飛び出したいと。今、願ってきたその夢が叶うのだ。私の友達はきっと、バラバラになっても私を忘れないでいてくれるだろう。
 時間だ。そろそろ東京行きの電車がホームへ到着する頃だ。その時だった。背後から私の名前を呼ぶ声がして振り返ってみると、家族や友達、先生が走ってきた。みんな私を見送ろうと駆け付けてくれたのだ。私は嬉しい。それは見送りに来てくれた事が単に嬉しいのではなく、みんなが笑顔だからだ。せっかく私の旅立ちの日なのだから、悲しまずに喜んでほしかったのだ。ありがとう、みんな。
 ベルがけたたましく鳴り響き、電車がホームへ入ってきた。このスピードがあれば、私をあっという間に遠くへ連れて行くだろう。
 私は最後にみんなに手を振り、そして線路へ飛び込んだ。グシャ。


自由詩 See off Copyright ネハン・フランク 2011-02-02 00:36:00
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