演歌詩; 2ケ
salco

先攻 白組、盆暮呉吾郎(初出場)
 
演歌が今宵も

今どきカセット手売りする
キャリーと苦労を曳きながら
銀座 赤坂 新宿と
ネオンとファンデに容貌きりょう焼け
夢も衣装も色が褪せ
黒服無言で追い払う、
キャバクラばかり増えました
オールドあたりめ焼うどん
昭和な酒場を探します
スナックみどりのママさんは
先月晦日で夜逃げした
演歌が今宵もお世話になります

都会の波止場に霧笛が響きゃ
マドロス無理矢理生き返る
上野 赤羽 錦糸町
グラスに遊ぶ寄る辺ない
貧しい女の身の上が
酔えば酔うほど溢れ出て
撚れた化粧も物欲しげ
月二で四万カラオケの
講師も不況で馘首になり
家賃滞納三箇月
あなたの情けが頼りなの
演歌が今宵もお世話になります





後攻 紅組、碓氷幸子(出場2回目)

演歌 灰かぶり

無垢の床なら黒の塵
塗りの床なら白の塵
目に立ちわたしは困ります
厭だ、髪の毛落ちてゐる
埃だ、お前は怠けたね
箒で突かれて足蹴にされて
はたきで打たれて罵り浴びる
だつてわたしは我が家の端女
這ひずり回る雑巾をんな
かあさま何故にわたしを置いて
遠い処へ逝かれたでせう
とうさま何故にかあさま忘れ
色に血迷ひ盲たでせう
可愛い娘を灰色に
わりなき獄に入れたでせうか

灰色に塗り篭められた世界では
灰色の娘にばかり雨が降る
唇噛んで恨み唄
夢に醒めたや瞼裏まなうら


襤褸をまとふた十二の春に
泪で聞いたうぐいすの歌
お庭の隅の枯れ井端
かぼちやの種を播いてみた
あれから十歳ととせ経ちました
あてない夢は罪つくり
あたら泪の泣き寝入り
青い御空の果ての果て
羽根もないので目を閉ぢて
せめて眠りに戻ります
天井裏の駆けくら鼠
毎晩かうして聞いてゐる
魔法使ひがをらぬなら
明日は晴れずに曇りやいい
さうして雨の檻になれ

灰色に閉じ篭められた世界なら
灰色の娘もよもや目に立つまい
お助け本願子守唄
爪噛みふやけた指の唄





続いて白組はカナル・サンダースの「阪神優勝したら何でわしやねん」
紅組はカミングアウト・シンガー恋野眉子で「おかまいなくね?」
では、ドゥーゾ!



自由詩 演歌詩; 2ケ Copyright salco 2011-01-28 22:19:13
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