【連詩】 立体
古月
枝にぶら下がるくすんだ顔が
路上に落ちて
笑う
見知らぬ女が
ほうきを動かしている
うすのろい朝は明るくて
骨が痛い
ところでご挨拶が遅れました
わたくし箱ともうします
ガラスのコップが現れたのはその時です
あ。
間違えた。
せっかくだからこの朝を持って帰ろう。
僕は走って逃げ足の速いコップを
左手を伸ばして ( 捕まえた )
背骨が、 /ぐらり
骨g
a。
しかしなんでしょうね、公園というやつは
円形で
みんながぐるぐるとまわりを
走れて
一様に空を
見上げる顔たち
ふちどりばかりが濃く、なって、
空っぽの
まんなかに女が、
ほうきで
描く、
ところで、
(余白)
であってくれてよかった。
掬うというおこない
注がれるみずを
呑み、
呑める、
ふふふふ。
まるいはこに
注がれるみずは
笑い声を上げるたびに
くずれていくので
おんなはほうきに
ならなければ、
いけない
コップに流れついた畦道に音が琴よ、 スプートニクが戻ってきてくれなかった保管部屋 は拒むことの名もなくことをつぶやく 「音符でさえ……すでに立方体を放棄している」(田村隆一「作品論」)
類の必然性
わたくしのなかにあなたがいるりゆう
なんて
はじめから必要なかったのだけれど
もうすぐガラスの朝焼けが散乱する