夢を見ましょう
……とある蛙

夢で逢いましょう
夢で逢いましょう

だだっ広い駒場グラウンドの
野球場とラグビー場を区分けしている並木道
両側を生け垣とランダムに生えている並木
生えているのは桜の古木
ごつごつとした幹の皮肌
ごつごつ太くて大きな桜の古木
路面は砂利道 いつも朝方
前夜の雨か濡れていて
砂利のはだけた部分
剥き出しの赤土が泥濘(ぬかる)んで、
凸凹の水たまりに中途半端な子供自転車。

牛乳屋のいじめられっ子の息子は
いつも金を持っていて
ビートルズなど知らなかったが
マッシュルームカットというか
袴穿きドングリの逆立ち頭
東海大学の校門前の道を
そいつの家の前を通って
グラウンドへ
その裏門から中に入った日曜日

ロストボールのラグビーボール
シャツの後ろの押し込んで
苦労して持ち帰ったものなのだが
蹴るにもけれず、投げるのも難しく
もちろんキャッチするのはもっと難しく
その後はロストボールの硬球だけ
それも手に余って
汚いまま部屋の隅に転がっていた。

並木道の先には旧一高時代の木造校舎が
幽霊長屋のように立ち並び
その恥になぜか学生寮が
学生寮の入り口近くに
売店と卓球場が夢の中では混然となって
ネットのない卓球台で学生相手に卓球する自分が
自分の視線の先にある

夢で逢いましょう
夢で逢いましょう

なぜかそのうちすり替わり

同じ旋律で
夢を見ましょう
夢を見ましょう
になってゆく

もう一度
夢を見ましょう
夢を見ましょう


自由詩 夢を見ましょう Copyright ……とある蛙 2011-01-28 14:42:30
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