川の街
シホ.N

僕らは川のほとりに住んでいて
いつも水の匂いをかいでいた
時に異臭もはなつ水たちは
うす汚れたコンクリートの壁の下
木陰にくらい公園の横をくぐりぬけ
存在感なき音をたてながら
流れつづけたものだった

僕らはいつも川に沿う
熱いアスファルト道を歩いてた
排気ガスに汚れた空気
川べりの朽ちかかった木造家屋
憂欝な人の蹴り入れた
小さな石の小さな波紋
まったく街は病んでいる
しかし僕らは夕暮れに
一種詩的な風景を
ふいに見つけてしみじみともした
唯物的に生きてもいるが
動めきうねる川の街のこの貧弱な感傷

四畳半の窓の下を流れる川の水の色は
見るたび悲哀に満ちていて
僕らは独りなのだ

いかにも安易な孤独意識に
僕らをいざなうものだった


自由詩 川の街 Copyright シホ.N 2011-01-27 17:52:24
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