新月
within

暖房もなく、寒いよるには、
ちいさくなって毛布にくるまるのです
毛布はやさしいです
朝の梵鐘の音が聞こえると
お腹も空いてくるのです
やさしい毛布から脱け出して
ずうずうしいエアコンのセカイに
飛び立ちます

新月の夜には
みな小さくなって体を丸めます
みなおびえていますが
失われた光の後ろには
月が見守ってくれています

どうして闇夜に獰猛な牙をむき出しにできましょう
みなさびしいのですから
みなやさしくなれます、きっと
わたしを捨てていったあのひとも
きっとこの新月の夜には
だれかと寄り添っているでしょう

わたしはひとり
毛布にくるまってちいさくなっています
ひかえめな星々が消えてしまわぬよう
しずかにいきをしながら


自由詩 新月 Copyright within 2011-01-26 15:20:22
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