新月
within
暖房もなく、寒いよるには、
ちいさくなって毛布にくるまるのです
毛布はやさしいです
朝の梵鐘の音が聞こえると
お腹も空いてくるのです
やさしい毛布から脱け出して
ずうずうしいエアコンのセカイに
飛び立ちます
新月の夜には
みな小さくなって体を丸めます
みなおびえていますが
失われた光の後ろには
月が見守ってくれています
どうして闇夜に獰猛な牙をむき出しにできましょう
みなさびしいのですから
みなやさしくなれます、きっと
わたしを捨てていったあのひとも
きっとこの新月の夜には
だれかと寄り添っているでしょう
わたしはひとり
毛布にくるまってちいさくなっています
ひかえめな星々が消えてしまわぬよう
しずかにいきをしながら