蜜雪
アラガイs


(ねぇ、いくときは一緒にいこうね。
ひとつになりたいの…)

その日の夜、
、確か黄色い月)がスペードとハートをいったりきたりした。
仄暗い窓を揺らす冷たい風の音に、外気はしっとりと濡れ
残雪を被ったホテルを照らすネオンの薄明かりが、
、その初熱が滴へと変わりはじめるころ
少し離れた温泉街の居酒屋を探し歩いたあとの酔いは、二人のこころをすっかり解きほぐしていた。

入れ違いに大浴場から戻ってきた二人は、飲み残したグラスをそのままにしてゆっくりと抱き合った 。
唇を重ねあう。乾かない熱が蒸気となって
また二人の汗となる
横になった僕は、君の胸を両手で押し上げながら、やわらかな谷間に顔をうずめた
指先はむっちりと厚みのある太腿の内側を滑りながら、君のいちばん感じるところを捕えた
あ〜、うねる様な大きな声が二度弾んだ
)ねぇ、暗くして‥
膨らんだ胸を名残惜しそうに、僕は照明の灯りを落としに起き上がる。

すでに日本酒と温泉の地熱に酔いながら、僕の執拗な愛撫で彼女は濡れている様子だった
浴衣を勢いよく払い退ける彼女の身体から、艶紅色の蒸気が一気に舞い上がり
ベッドにゆっくりと倒れこむ二人
激しく腰をつき動かしながら唇を重ね求め合う
唸りを発してベッドの音が大きく軋む
セミダブルのベッドは歪んだトランポリンのバネのようだった。

温泉付きの宿ではあったが、そのドアロックの掛かり難さに二人は苦笑した
中に入ると天井の彼方此方についた染みの跡が、まるで雲のように滲んでいる
さすがに前払いをするときの金額の安さには、ラブホテルだったのか‥と疑うくらいに驚いたが、幾月夜もの乱密を感じるその酷さには、ここを宿にと決めた焦る気持ちを少し後悔した。

腹ばいに上になったまま、僕はこんもりと膨らんだ谷間の下からブラジャーを捲り上げた
乳首はもうすっかり色味を帯びてかたちを変えている
僕の唇のなかでやわらかくころがる度に、嗚咽のこえが漏れた

(噛んで 強く (もっと
強く 、、(注略
首を反らしながら君は呟いた
僕の熱と酔いは一気に高まった
それは肉を食らう、まるで半獣神のように

口を窄め、乳首を軽く前歯で噛みながら、思い切り音を発てて吸い上げる
絡み合う舌と舌
すでに勃起していた僕は、その突端を君の上から押しあてると
大きく弾む吐息は縺れ合い、口のなかで交わった

(以下略…

くの字に絡まる四つの熱い太腿
僕の指先が君の内側を押し付け、いちばんやわらかな部分に直接触れる
秘部は捲られじわり溢れ出る熱い分泌液
妖しく光る月の滴は粘膜から零れ出て、僕を待っていた

まるでとめどない泉のように‥
強引にパンティをずらすと、襞の上を何度も擦りながら、僕は吸い込まれるように薬指を挿入する

)あ あ 感じる ) 熱い )熱い )
君は大きな声を発し、力いっぱい抱きついてきた
愛液は音をたてながら密壼から溢れ出て
深く挿入された僕の指先が、甘海老のようにリズミカルに跳ね返ると、君は何度も大きく息を洩らしながら顎を反らした

注略)

跳ね返す手足の指先は硬直している
僕のカーキ色のパンツの中心はすでに染み濡れ、そして大きく垂直に膨らんでいた。

男と女は獣のように互いを求めあう
狂い咲く、遅咲きの桜のように、激しく、舞い、乱れあう
待ち続けた快楽を貪りあう二人
それは大人だけが知る性の喜び

彼女はだらりと片足を開いたまま、恍惚の表情で仰向けになっている
左右に伸びきった濃厚な陰毛
その深部に隠れるように剥き出しにされている陰部は
貝が潮を呑み込むときの、半開きの口そのままに、息づいていた
僕はその湿った口の襞を押し広げると
じっくり眺めながらその小さく膨らんだ部位を舌で刺激した
(以下略…

粘りのある液がとめどなく溢れ出てきた
彼女の息が激しい嗚咽に変わる
僕は我慢できなくなった
乱れた彼女の髪を左右に掻き分けると、頭をそっと持ち上げ、充血して大きくなった僕の鬼頭の先を彼女の口に近づけた

口淫のやり方に(君は少し戸惑っていた
戸惑いながらも舌先を延ばし…(以下略…

あ〜僕は思わず、そのしっとりと粘膜が擦れあう気持ちよさに上気した
急くように僕が下になると、君は右手で 勃起した茎をしっかりと握りしめたまま、上になった
そのうち顎を突き上げて僕の膝頭を挟み込むと、その湿った部位を擦りつけては腰を前後に揺すり、声を荒げた
(あ〜(いい…以下略

激しく腰を降りながら、叫ぶ
もっと、 もっと強く擦って 強く 、そう
唾を…(以下略

君の撓んだ乳房を力いっぱい揉みほぐしながら、僕は乳首を強くつまみ上げては 何度も要求した

入れて
ねぇ )お願い )
君の口からそのことばが洩れるのに、そう時間はかからなかった
二人は反転すると、 下になった君の両足を大きく拡げ、 その密液で満たされている襞の内部を指先で確かめるように挿入しようとした



しかし‥どうしたものか‥
なかなか入らない
僕のペニスは充分に硬直している‥
そして二人の性器も愛液で満たされているのに、何故か‥
(以下略……

気持ちとは裏腹な砂貝が、蓋をするように頑なに拒んでいた…


僕は何度も挿入を試みた
)頂戴… あなたの
(以下略…

君は必死に腰を突き動かしながら、僕を受け入れようとしている
何度も
何度も僕のペニスを握り導いている

しかし、どうしても駄目だった。
(以下略…

僕はすっかり落胆してしまった
…指先で
申し訳なさからせめても指でいかせてやりたいと、人差し指と薬指で何度も君を震わせた
(以下略…

乾いた古い隔室を君自身の手で壊すように。


その日、一度めの夜は とうとう結ばれないままに 終わってしまった
不可思議な抵抗を弁解する僕を彼女は慰めてくれた
僕もいきたかった
彼女はその要求に応えてくれた
馴れない手つきで一生懸命口に含んでは扱いてくれた
そして 、僕は彼女の口のなかで果てた
結局 二人がひとつに結ばれたのは、弛んだベッドで一寝入りした後の、朦朧としたやわらかな陽を浴びて微睡む、昼下がりだった 。
抱き合ったまま布団を深々と被っていた
剥き出しの足が寒い
いつのまにかエアコンを切っていたことに気がついた僕は、カーテンを開け日射しを呼び込むと
空には満月に近い白い月が微かに浮かんで見えた
遠く山から駐車場一面に
雪が降り積もっていた 。






編集削除有り





自由詩 蜜雪 Copyright アラガイs 2011-01-25 03:40:00
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