りんご
朧月

青果コーナーのおじさんは
どれに蜜が入っているかわからないという
りんごの山
どれも赤いりんご

りんごはこっそり打ち明ける
私をつくってくれた
おじさんは知っているのに
伝えておいてくれたのにと

蜜入りりんご 甘いりんご
私はそれがほしかった
りんごの顔はみわけがつかない
北の国の香り

うっすら青いりんごたちは
しおらしく積まれて
わけありりんごの袋詰めの群れに
押されていた

甘いりんごの蜜は
魅力的な少女のように
私の脳裏に浮かんだけど
素朴なりんごを手に取り
帰った
北の香りに包まれて



自由詩 りんご Copyright 朧月 2011-01-23 19:45:52
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