泡の花
高梁サトル


両の手で耳を塞いで
押し寄せる血潮の波の
遥か遠くの音を聴いている

真夜中に

わたしはわたしの体が
排除しようとするものを
いつまできつく
抱き締めているのだろう
記憶の中の小さな欠片に
脆弱な神経すべてを
委ねているようで
心細くても

何度繰り返して
すり減って
純粋なものでなくなっても
それでも
諦めきれない

あの日成せなかった
何かが産み出せるなら

きっと

なみだは花
ひとつ
ふたつ
かなしみは
こぼれて

ひらいては消える
泡のように


自由詩 泡の花 Copyright 高梁サトル 2011-01-23 14:10:01
notebook Home