まっ白け
砂木

雪をかきこみ スノーダンプを押す人が
車道で 私に向かって来る
降りしきる朝の通勤時間帯
信号で渋滞しては 諦める日々
安全運転しかないのだけれど
ねえ私の車に なんで真直ぐ向かってくるの

ひき殺すわけにもいかず 車を止めた
その人は 間に合うと思ったのかもしれない
いや 大雪に気をとられて 車がみえていない
でも はっと私に気付くと 急いで
道路脇の 雪の壁の下に 寄せてきた雪を投げ
多分 自宅のある雪の壁の中に戻って行った

あとからあとから 雪が白く降り積もる
アクセルの音が 吸い込まれる

クラクションを響かせて 
戸口を埋めた雪の塊を 道路の隅に捨てる人を
脅してもよかったけれど

音楽のボリュームを少しあげる
捨てられた雪の塊の横を 
やりすごして通り過ぎる 
いつものように




自由詩 まっ白け Copyright 砂木 2011-01-22 23:04:05
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