piggy
Oz

空洞の破綻
再開の吟味
感傷の拒絶

豚が空を飛ぶ
狼は下から吠えるだけ
その牙は
爪は
届かない

背中に着けた
大きなプロペラ
豚は何処までも飛んでいく
何処までも
何処までも

鳥が
囁く
「不思議な豚ね」
豚が
告げる
「僕は豚じゃないのさ
鳥でもないけれど
つまりは何だっていわれたら、
やっぱり豚なのだけど」

紺色のPコートを着た
20歳くらいの女の子が
川辺で
足を抱えて
ただずんでる

豚は降りたって
訪ねる

「どうしたの?」
「どうもしていないよ。
ただ静かに過ごしていただけ。
心を痛めている訳ではないし、
疲れている訳でもない。
ただ、
静かにしていただけ。」
「邪魔したかな?」
「いいえ、
声をかけてくれて
とても嬉しいわ。
だって、
アナタはまるで
天使のようだもの」
「プロペラだけど?」
「プロペラだけど。」
「豚だけど?」
「豚だけど。」

女の子は豚の頬に
キスをする

「僕は行くね。」
「さよなら、
天使さん。」
「さよなら、
お嬢さん。」

そして、
彼女は家に帰って
チョコレートをやけ食いした。


自由詩 piggy Copyright Oz 2011-01-22 13:22:04
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