コエ
番田
誰もいない
そして なくしてしまった 言葉を
私は失った
流れる この 夜の中で
声を いつも 無くした
私は 暗い 夜の中だった
誰の声もなくした
私は この街の中で
ぼんやりと 暗い 灯火のようなものを
ひとりで いつも 見ていた気がする
ぼんやりと 進んでいく 流れの中で
そこに 凍り付いたような 流氷を見た
自分さえも
心の中に見ていたような気がする
出口のない 迷路の中で
一体 何を 語るべきだろう
わからないけれど
歩いていく
そして通り過ぎていく
タイルの絵柄をなぞりながら
アスファルトのスキマをたどりながら
どこに行く
私は見た
ベンチの上に腰掛けながら
自分を知った
ホタルの光を目の中で追う
*
飯を食べた
行くあても無い 夜の街を
架空の人と また 手を取り合いながら
明日のことを 考える
この夢の中で
見えない自分をその目に追うように
知らないものを景色に知るように
つまらないことを今日も私は考える