相関たちの剥奪および独楽のような孤独
乾 加津也

「死刑」には
死刑たらしめる法と
死刑執行人
死刑場(およびその道具)
なにより死刑囚がいる

そのまえには判決
主体の認否を越えて客体の処断があり
主体は罪の罰が死刑となったことを
耳や目できく

時がくると
刑は処される
介入がなければ厳かに
あるときを限りに
まえにあったはずの
おそらく囚人の命が
「いる」をやめさせられる

屍は
重いか?
これを客体が見とどけて

「執行」の記録がのこる



なにかの力が働いて冤罪がときはなたれる
呼び戻せすぐに
だが死刑場から死刑囚を呼び戻せる者がいない
客体はなにを越えた
客体の命の沿線
はかりにつりあうものがないので
だれかが越えることでつりあおうとするが
なのにだれも人柱にはならない
そのような法が
まずない

越える
幕によれば
客体は主体
法の及ばない法
死刑のための
拘引された集団
この収監で
肢体という道具で
ひとりひとり
使役を解く
それが
呼ぶ


なによりも
死刑には死刑囚がいる



自由詩 相関たちの剥奪および独楽のような孤独 Copyright 乾 加津也 2011-01-21 17:45:27
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