一礼してどこかへ
かんな

好きだよ
取り囲まれた日常に埋没して生きてゆくこと
どうしようもないことにもがいては泣いて
だい好きだよ

だんだん揺れを増す心音の近くで
赤面したこころの奥底
繋がっているのかな、いないの、かな

消えてゆく夕日にさようなら、バイバイ
あなたにも手を振ろう
せいいっぱい せいいっぱいに

あの頃っていつも音楽を聴いていたね
ひとりになることが自由だった
ひとりになることが大人の証明だった

夜は雨のように落ちてくるよ
ひとつぶ、ひとつぶ、ひとつぶ、やがてベールになって
包まれていくやさしさなんてものに似ている

あなたの中にある海について興味をもった
湖でも川でも沼でもなく、どこか淡い青をした海だった
わたしはそこでひとり泳ぐことを望んでいたよ

好きだよ
壁にぶつからずに少し避けて歩いていくこと
その自分の弱さに気づく勇気とか呼べるもの
だい好きだよ

だんだんだんだん、わからなくなっていく
続いていく道を蛇行して歩いていくからできる息の仕方
流れていく日々にほんの少しの不自由さが広がる


  だから
  この地上に一礼して
  そして、
  どこかへ




自由詩 一礼してどこかへ Copyright かんな 2011-01-18 16:37:04
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