鳥の骨
三条麗菜

むかしむかし
あなたと私の
鳥の骨のような関係が
ありました

肉はもうとっくに
誰かに与えてしまって
白い骨格だけが
残っているのです

飛翔の予感を秘めて
飛翔の過去を秘めて

私はあなたを抱きしめます
逃げないように
迷わないように
でも私の体じゅうに
骨が突き刺さるのです

飛翔の予感を秘めて
飛翔の過去を秘めて

血が流れ
白い骨を汚します
赤い筋がいくつも
白い骨を汚していきます
痛みは私の中で芽を吹き
蔦のようにしゅるしゅると伸びて
体に巻きつきます
固く固く体に巻きつきます
一体に
一体に
ああ今こそあなたと一体に!

飛翔の予感を秘めて
飛翔の過去を秘めて

今はもう
バラバラと崩れた骨の欠片が
地面に散乱しているだけ

でもある日のこと
羽毛が一枚だけ
舞い降りてきました
私たちが生んだ鳥は
どこかの空を
まだ飛んでいるのです
血の色の翼を
力強くはばたかせて



自由詩 鳥の骨 Copyright 三条麗菜 2011-01-17 23:39:52
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