粉雪
吉岡ペペロ
道を白くさせるていどの雪が
ちいさくすうっと落ちてゆく
あれから16年
あの竹の切り口にも落ちてゆく
それはろうそくの火で瞬くまに乾いた
混乱はやんだ
喪失だけはいまだ落ちてゆくようだ
ああ、雪よ、粉雪よ、おまえはどんな成仏をお望みなのか、
16年後のベッドの枕を
唇をあて重力で抱きしめるようにして
道を白くさせるていどの雪が
ちいさくすうっと落ちてゆく
自由詩
粉雪
Copyright
吉岡ペペロ
2011-01-17 01:09:14