黄金色の目のカラス
石川敬大
 天上からもち帰った
 大切な荷物のように
 わが身に替えてもと
 あんなふうに胸ふかく抱いていた
 母がいた
 から、きみがいた
 母がたったひとつの宝物と
 わが身に替えてもと願ったのだ
 ブキヨウで
 ミニクくさえある
 翼を羽ばたかせて
 やっと電柱の上にとまり睥睨する
 のではなくて
 フアン気にみおろしているやつ
 みおろしながらぼくなんかいなくなったほうがいいんだと
 ウツムいているやつ
 仲間からサゲスまれ
 キラわれイジめられて
 ひとから敵視されているカラス
     *
 だけど
 おもいだしてほしい
 わが身に替えてもと
 あんなふうに胸ふかく抱いていた
 母がいた
 から、きみがいた
 という
 そのことを
 
