夢の月
一 二
今は昔、夢の物語
彼女と共に照らされた
瑠璃色に輝く朝焼け
世界の区切りを見た
彼女と共に感じた
大きな大きな空の青
果て無き青の光
そのとき、とても幸せになった
彼女と手を繋いで陽に包まれた
黄昏色の夕暮れ
彼女は小さな咳をして
私はただ
その小さな身体を抱きしめる
やつれた彼女の笑顔
そっと大切に抱きしめる
深く黒い夜空の雲
かぼそい声で囁く声
彼女は綺麗に静かに微笑んで
そっと目を閉じた
天は静かな
永久の静けさ
世界はとても静かで
世界はとても凍ってる
寒さに包まれると
彼女のことを思い出す
かぼそい声を思い出す
小さな微笑みを思い出す
彼女は静かな夜空に一人だけ
闇夜に浮かぶ夢の月
静かに静かに照らしている