夢の月
一 二

今は昔、夢の物語

彼女と共に照らされた
瑠璃色に輝く朝焼け
世界の区切りを見た

彼女と共に感じた
大きな大きな空の青
果て無き青の光
そのとき、とても幸せになった

彼女と手を繋いで陽に包まれた
黄昏色の夕暮れ
彼女は小さな咳をして
私はただ
その小さな身体を抱きしめる
やつれた彼女の笑顔
そっと大切に抱きしめる

深く黒い夜空の雲
かぼそい声で囁く声
彼女は綺麗に静かに微笑んで
そっと目を閉じた


天は静かな
永久の静けさ
世界はとても静かで
世界はとても凍ってる

寒さに包まれると
彼女のことを思い出す
かぼそい声を思い出す
小さな微笑みを思い出す

彼女は静かな夜空に一人だけ
闇夜に浮かぶ夢の月
静かに静かに照らしている


自由詩 夢の月 Copyright 一 二 2011-01-14 18:35:14
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