僕はいつも君の方向に向かっていっては蒸発してしまう
真島正人

僕はいつも君の方向に
向かっていっては
蒸発してしまう
やだなぁ
なんて薄っぺらいんだろう
薄っぺらいからだよ
蒸発してもすぐにまた
ここにいるんだ

僕はいつも気管支に
空気みたいなものを
詰まらせてしまう
やだなぁ
形がないものなんて
つまらないのに
どうして形のないものほど
形のある場所の邪魔をするんだろう

町はあいまいに
動いていく
夜になると
家だったものが
別のものになって
あなたと会うための
旅を始める

小さな路地裏に迷い込んで
かかとをこつこつとたたくと
地獄のピアノの音みたいに聞こえる
あなたの見た夢が
通路全部を覆っている
覆われたら白い色が少し混じってきた
目をこすったら、いつもの闇だった

僕はいつも
途方にくれないために
生きている
生きていることの意味が
途方にくれないためだったら
どうして何かを
渇望するのだろう
僕が子供だったころ
大きな人がやってきて
朝のうちに考えることだけが本当のことだと
教えてくれた
僕が朝のうちに考えることは
地図のことぐらいだ
ほかにもいくつか考えるけど、
全部地図に載っている記号ばかりだ

僕は地図の中に
何を探したいんだろう
僕は地図の先を増やしたいのかな?
やだなぁ
なんて薄っぺらいんだろう
薄っぺらいからだよ
もっと先がほしくなる


自由詩 僕はいつも君の方向に向かっていっては蒸発してしまう Copyright 真島正人 2011-01-13 01:21:30
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