カリスマ
遠藤杏

死んでしまったらカリスマになるのか
みんなみんな
なんて君が悔しそうな表情で言うから
わたしは胸がどきどきして
息を吐くのに精一杯になった

ある日の朝は
とても天気が良くて
太陽の光がガラスの破片みたいに目に突き刺さって
わたしの黒目は赤色になった
猫も写真に写ると目が赤色になるので
嬉しかった

雲が遠くで泣いた
鳥がその間に線を引く

目を強く擦ってまた開く

死んでしまったら
今までの嘘や意地悪も全部流れて
赤ちゃんよりももっと
もっともっと
純度が高い
真っ白なキャンバスみたくなるんだって
この世に存在しないくらいの

だって
だから憧れるんだって
みんな

空に喋りかけた
一瞬
にやりと笑った顔に
わたしは一歩だけ後ずさりする


自由詩 カリスマ Copyright 遠藤杏 2011-01-11 02:03:39
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