カリスマ
遠藤杏
死んでしまったらカリスマになるのか
みんなみんな
なんて君が悔しそうな表情で言うから
わたしは胸がどきどきして
息を吐くのに精一杯になった
ある日の朝は
とても天気が良くて
太陽の光がガラスの破片みたいに目に突き刺さって
わたしの黒目は赤色になった
猫も写真に写ると目が赤色になるので
嬉しかった
雲が遠くで泣いた
鳥がその間に線を引く
目を強く擦ってまた開く
死んでしまったら
今までの嘘や意地悪も全部流れて
赤ちゃんよりももっと
もっともっと
純度が高い
真っ白なキャンバスみたくなるんだって
この世に存在しないくらいの
白
だって
だから憧れるんだって
みんな
空に喋りかけた
一瞬
にやりと笑った顔に
わたしは一歩だけ後ずさりする