冬の薔薇
花キリン


不注意を絵に描いて差し出しても、あなたは納得しないだろう。だから、痛みに寒さを被せてみても、温もることができないでいる。
美しさと可憐さを、視点の中で二重に巻いて、通り過ぎる風に差し出そうとして生まれた、小さな出来事。
鉛筆で大きな丸を一つ画いて、終わりにしようと思っている。

画用紙一枚に、画き切れない重さがあったのは暑い夏。そして大きく乱れた時間の破線。
その線上に心眼を置くと、寂しさを載せた先に、冬の薔薇が咲いている。
切り飾るほどの枚数はどこにもないが、広くもない庭の真ん中で、これは大きな冒険なのだ。

この日は、無性に鋭利な刃物を斜めに滑らせてみたかった。薔薇に向ってではなく、どんよりとした冬空の怠惰に向って。
些細なことなのだろうが、指の僅かなためらいが、棘を苛立たせ血を誘ったようだ。
私は諦めて、不器用な手つきで鑑賞する距離を探り、そこに損ねた五感を置いた。


自由詩 冬の薔薇 Copyright 花キリン 2011-01-10 17:05:03
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