冬椿
Giton
.
地に灼
(
いちしろ
)
き椿は燃える
雨に打たれても猶お灼く
雪にうずもれて猶お灼く
涸れ枯れの遼原に椿燃ゆれば
.
吹きしきる睦月の霙
(
みぞれ
)
に逐
(
お
)
われ避りつつ
羽虫らは眛爽の涯
(
きし
)
に惑い来る
汝
(
な
)
が青緑の厚き盾を恋い慕い
灼き蓋
(
おお
)
いの下に羽息
(
やす
)
めたり
.
されど疾風は猶お止まず
黄金
(
きん
)
な頭
(
こうべ
)
に群れるすがるの
甘い耀きに酔う遠い蜜の夢
.
日は陰り霰撃つ天の腸
(
はらわた
)
薄明に紛れ
密やかな天使の吐息が舞い降りるとき
紅蓮の椿遼原に燃えていや灼く
.
自由詩
冬椿
Copyright
Giton
2011-01-10 00:21:46