孕まない理由
ayano




俺が爪を切っていたら、彼女が目薬をさしていた。眼球が赤く熟れて、化粧をしていない汚い肌との比較がとても映えてみえた。それの自慢は眼球や爪や腰や内臓が極端に綺麗で、他の部位は血色の悪い醜い姿をしていた。世界中探せばもっといいヤツはいるはずなのに、こいつの性格やその他が魅力のある、完璧じゃないことを示すから一緒に過ごすことを決めた。




「私の眼球は売り物じゃないので」
「分かっているよ。無理矢理引きちぎれば、いいんだろ」



色々間違っていると思う。セックスして死にたいと二人願った理由や、外の世界に染まらない冒涜と、神聖な教会での挙式の不服さを、俺らは身をもって理解しているからだ。

ただ、吐きすてる息の白さだけは分からないまま。









自由詩 孕まない理由 Copyright ayano 2011-01-09 13:14:54
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