綾(あや)
yumekyo

京(みやこ)の雪は
帰省の翌日
天気予報にあったとはいえ
数年来の大雪で
暮れの街が大混乱
テレビのニュースでのみ見る
京の冬らしい姿に
立ち会えなかった

呑んでは寝て 呑んでは寝ての
寝正月
田舎の冬はいつもどおりの青空
それも
転寝のうちに急に冷気を感じて
飛び起きれば
予報にもなく
見慣れた山も 曲がった国道(みち)も
白化粧

年賀状の配送枚数は
毎年逓減しているとはいえ
相変わらずの水準らしい
思わぬ便りに
目を細めて見つめるのが
正月の風景
この年になったら生存確認みたいなもんでもあるで
両親が笑う
この国の役所は生かしもしなければ
適切に殺しもしてくれないのだから

年末には大掃除をして
年賀状の束をポストに投げ入れ
三が日には旧い友たちと会話を交わす
せんどぶりやのぉ
元気にしとんかぇ
嫁はんと子供はどないどぇ
仕事はらくなったんかぇ
ありふれたお正月
普通のお正月
そこに「まっとう」という言葉が敢えて付け加えられるべきか
膝小僧の古傷が痛い
そんな次元の事で
長いこと争ってきていて
勝手に生きづらくしてきていた

出会ってみたかったと心の中に思うことに
タッチの差で出会うことが出来ずに
予想もしていなかったことに遭遇して
窓際に手を置いてじっと見守る
織り成されている綾(あや)というものは
常に意思の外側にある
今 私が手にしているものが
決して「まっとう」と人が呼ばないものであっても
本来存在したはずの光のかわりに
今の光を手に入れているのだから
この綾を大切に仕舞っておきたい

新しい年が始まった


自由詩 綾(あや) Copyright yumekyo 2011-01-08 22:59:32
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