寒い日の夜
番田
私は眠る
一人で 今日も 歩いた
その 夜を 出て行こう
いつまでも 私は 眠るのだ
明日のことなど 忘れたのだ
誰もいない 暗い 墓場で
凍える 体を ひとり 横たえた
言葉を 失った 日に
何もない 死んだ 思いが
いつも 流れ出した 世界で
アルバイトであるこの私の体が漂う
*
身分証明書を 私は 持った
風の中で 私は 見た
透明な 輝きの ビニール袋を
思う 色に それを 塗り上げながら
衰退し始めた この 思いを
ひとり 私は 省みている
橋の上で それを 見た
色々な 風として 私は そこで
辛い マー坊豆腐を ついばんでいる
人を見た
流れ出していく時に
夢見た時間が存在した
誰でもない街に
私は思いを取り出した
何度もそこで握りしめた
枯れ果てた思いを
都会の路上に 私は立たせた
*
回りくどい 思いで 聴いた
ステレオの ダイヤルを 回し
最後の リクエストを 入力した
流れはじめた 外の 世界
私は いったい 誰なのか
握りしめる この 手の中に
持ち寄った 思いは すでに 無い
破れかぶれの計算で 飛び出した
遠い日の体が ひとつ 蘇る
街の中で 思いを 私は 叫んだ