死という胎児
kawauso

死というものはまるで胎児だ
そこには男も女も大人も子供も関係なく
誰もがみな孕む胎児

時期はそれぞれ違うけれど
私たちは一様に死を見つける
死への意識は無理やり私たちを犯し
死という胎児を孕ませる

様々な死に出会いながら成長するが
それは腹のなかの子も一緒
芽生えた胎児は死を糧にして
すくすくすくすく大きくなる
そしてその出生を今か今かと待っている

胎児はぐんぐんぐんぐん大きくなって
腹のなかにおさまりきらなくなったとき
それはいきなり飛び出してくる

生まれた子供は7、80年グラムが多いが
0年グラムや、100年グラムといった例外もしばしばある

その引き換えに私たちは死ぬ
そこに一瞬のためらいもない

切り開かれた腹からは、血まみれの嬰児がチラリ顔をのぞかせる


自由詩 死という胎児 Copyright kawauso 2011-01-07 17:23:39
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