こわしたな
森未

あたしの好きだった世界は
こわれてしまった
あたしの好きだった歌は
こわれてしまった
あたしの好きだったあの人は
こわれてしまった

どうやっても直らないのです
それらはすべてわたしの手の中でこわれました
強くにぎってしまったからです
それらはすべてわたしが「こわしてしまった」のです

だから
どうやっても直らないのです
どうやってもどうしても

でも
悲しくはないのです
どうしてでしょうなぜでしょう

うふふとあたしは笑うのです
それはとてもきれいだからです
こわれた世界が、歌が、あの人が
とてもきれいだからです
それらを抱いて眠りました

そしたら朝が来て
世界はそこにありました
歌はそこにありました
あの人は隣で眠っていました

あたしは少し、泣けてきたのです。


自由詩 こわしたな Copyright 森未 2011-01-05 18:50:46
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