堤防
番田 


条約に区切られた海域が
虚無の方角を 指し示す
卑小な 国力を 指し示す
防波堤の冷たい石組みだけが
血塗られた記憶を表面に現した


飛行機の墜落した 場所に
いくつもの 石碑が 立ち並ぶ
無数の 虚無が 香り立つ
海は 事実を 知らずに
干潮時に決まった水位に現れた


奴隷と その 購入者が
二人 同じ家に 居住する 時代
山は 影を 家並みに作りだした
雷鳴は 季節に従い 轟いた
子孫は路地裏から 産声を 上げた



自由詩 堤防 Copyright 番田  2011-01-04 02:15:54
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